1911(明治44)年に九州電気軌道(現在の西鉄)の路面電車が開通した当時の勝山橋は木造で、同年9月の開通記念花電車が運行された際にはイルミネーションが点灯されました。 勝山橋は常盤橋とともに、京町・魚町地区と室町地区という旧小倉市の東西市街地を結ぶ橋梁であり、1931(昭和6)年には路面電車の増便などの理由から石造に改築されました。 この写真絵ハガキは1939(昭和14)年に発行されたもので白黒フィルムの写真に後から色付け加工をしています。また、終戦まで北九州旧五市と下関市(旧市内)は要塞地帯に指定されていたため、このような写真絵ハガキや地図などを発行するには下関要塞司令部の検査と許可が必要でした。

※写真は1939(昭和14)年ころの勝山橋

現在の勝山橋 リバーウォーク北九州の開業が2003(平成15)年ですから来年は15周年。 以前この場所にあった小倉北消防署や百貨店の玉屋、ダイエーの存在もすでに記憶から薄れつつありますが、今も残る「旧小倉県庁跡」(後の、小倉警察署、岡田医院)は現在も当時の姿のまま、セレクトショップとして運営されています。

郷土史家・菊池満(きくちみつる)
1980(昭和55)年生まれ、北九州市小倉北区出身。福岡県地方史研究連絡協議会監事、朝日カルチャーセンター北九州教室講師、西日本工業大学非常勤講師などを歴任。
現在、西日本歴史文化研究所所長、北九州市立年長者研修大学校周望学舎・穴生講師、産業考古学会会員。専門は、日本近世・近現代史。
【主な発表論文】西日本文化協会創立50周年記念論文「森鴎外と和気清麻呂伝説」
【主な著書】「森鴎外 少年時代の業績」(共著)、「北九州市郷土史跡ガイドブック」(共著)など。