We Love 小倉協議会と北九州市立大学地域創生学群の学生が共同で、まち中で活躍する「情熱人(じょうねつびと)」を紹介するコーナー。今回はインクルーシブデザインの思考で人と社会が育ちあう社会づくりに挑戦されている生き方のデザイン研究所の遠山昌子さんにお話を伺いました。

 

------このお仕事を始めたきっかけ

OL時代に見た市政だよりで手話の講座が案内されていたのがきっかけです。想像以上に手話が難しく一年頑張っても自己紹介ができるほどでしたが、続けていくうちにボランティアの手話通訳者として役割を貰うようになりました。その後OLを辞めて公益社団法人北九州市障害福祉ボランティア協会で約20年コーディネーターとして勤務。そして2013年に団体を設立し現在に至ります。

 

------印象に残っている出来事

 一つに絞るのは難しいですがボランティアの手話通訳者としてある男性に同行していた時に、その男性と手話で会話していると、その男性がいきなり私の手をバチンと叩いて「今ここで手話いらない」と言ってきました。「あなたが今ここで手話をしたら自分が聞こえないことを皆に知らせることになるから止めてほしい」と。ボランティアは時に独りよがりになりやすい弱点があります。せっかくやるなら相手に喜んでもらう必要があります。そこをすり合わせていく、折り合いをつけるその過程が大切でそれを一緒に考えていくのがコーディネーターの仕事だと思っています。

 

------来年4月に施行される障害者差別解消法について

法律ができたからと言って一足飛びに「差別」が無くなるとは考えていません。中でも、直接的な差別だけでなく「合理的な配慮の不提供」 を差別と同じように禁止する項目があり、注目しています。この法律をきっかけに、私たち一人ひとりが「差別とは何か?」を考えることが大切だと思っていますし、そもそも「合理的配慮って何?」と関心を持つことで、私たち一人ひとりが差別のない社会づくりに積極的に参加しようとすることが大切だと考えています。

またこれからは、障害のある人も福祉分野に限らず全ての分野・ステージにおいて主体的に関わり、担い手としての役割も選択できるような社会に変革していくと思います。私たちは、その中で、障害のある人の強みを生かした「生き方のデザイン」を企業や行政、市民のみなさんとともに創造していきたいと考えています。

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------あなたにとって小倉の街とは、自由な考えをお聞かせください

北九州市の玄関だと思っています。交通の便もよく、集いやすい施設も多いです。

しかし、障害のある人にとっては、アクセスの良さだけでなく、目に見えない人の心の中にあるバリアの方が社会参加の壁になることが多いのです。その意味で、小倉が多様な人々が安心して集い活動ができる街になるといいなと思っていますし、市外・県外からのお客さまにも自慢できる「玄関」にしたいと考えています。

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取材を通して、誰もが満足する物や制度を作るのは難しいが、何を作るにしても多様な意見を言い合える機会が常にあることが大切だと感じた。

 

取材:北九州市立大学地域創生学群 3年 福母 啓詔 2年 森 彩夏