「皆さん、本当に今日はありがとうございました!」2013年1月6日。メジャーデビューをしているわけでもない、まだまだ無名の若者に対して惜しみない拍手が沸き起こった。

成功させた「2000人ライブ」

 「ソレイユホール」(旧九州厚生年金会館)大ホールの座席総数は、2008席。2012年春、このホールを自身の1年後の単独ライブのため、自費で借りた若者がいた。池端克章(いけはた かつあき)、当時25歳。「本気で紅白出場を目指しているんです。まずは、北九州の一番大きなホールでコンサートをしたい」熱く目標を語る若者は、ここを舞台に選んだ。

 無名の若者が単独ライブで大ホールを予約するというのは前代未聞だった。さらに、ポスター・チラシのデザイン印刷から、ステージの構成・演出・出演者交渉等、すべてを自分でしなければならなかった。もちろん、その間チケット販売もしなければならない。経験の無い、パンフレットの広告集めもした。少しでも話しを聞いてくれる人がいればギターとチラシを持ってミニライブさながらの営業活動をした。

 そんな中、紹介された自身の出身校OBに「本当に聴きに行く人の分だけチケットを買う」と言われた。チケットが指定席だっただけに、空席を作らないための気遣いだった。はじめは様子見をしていた人々が徐々に「本気」で応援をしてくれるようになった。

 当日、満席の2000人には届かなかったが1700人の実動員を得た。大成功だった。その後、完全に歌が仕事になり、活動のステージが、福岡、大阪、東京へと拡大し、今年の夏には、関門海峡花火大会の公式テーマソングの依頼もあった。制作した楽曲のタイトルは「SKY FLOWER」。花火大会会場、門司側で来場者へ届けられ、さらにライブステージも用意された。

 「活動の場を全国に広げていきたい」と語る池端。来春以降アルバムの制作も予定し、モチベーションは非常に高い。来年も北九州から打ち上がる「熱い花火」の活躍に目が離せない。

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