1962(昭和37)年に開業した旧小倉日活ホテルは、映画会社の日活が経営する宿泊施設でした。和室・洋室が計100室、大・小宴会場が10会場、その他に結婚式場や大食堂などがあり、当時としては西日本一の最新設備を誇っていました。
最盛期には、格式あるホテルとして有名だったこともあり、美空ひばりなど歌手のディナーショーも開催されていました。ある日、旧小倉日活ホテルに宿泊していた俳優の石原裕次郎がマネージャーに無断で外出。魚町銀天街の菓子店にいるところを一般人に発見され、大騒ぎになったという逸話もあります。
映画が大衆の娯楽だった時代、数多くの人びとに夢と希望を与えた銀幕の大スターたちが定宿としていた旧小倉日活ホテルは、その使命を果たし終えて2001(平成13)年に廃業。建物は来年度に解体されることが決定しています。

※写真は小倉日活ホテルとして開業した当時の建築パース

現在の「旧小倉ホテル」
使われなくなって10数年。建物を囲う壁に松本零士さんによるイラストなどが描かれてきましたが、近々解体されることがようやく決まり、都市公園(イベント広場)として整備される予定です。

郷土史家・菊池満(きくちみつる)
1980(昭和55)年生まれ、北九州市小倉北区出身。福岡県地方史研究連絡協議会監事、朝日カルチャーセンター北九州教室講師、西日本工業大学非常勤講師などを歴任。
現在、西日本歴史文化研究所所長、北九州市立年長者研修大学校周望学舎・穴生講師、産業考古学会会員。専門は、日本近世・近現代史。
【主な発表論文】西日本文化協会創立50周年記念論文「森鴎外と和気清麻呂伝説」
【主な著書】「森鴎外 少年時代の業績」(共著)、「北九州市郷土史跡ガイドブック」(共著)など。