今月は、独自の目線で北九州の風景を切り取り発信している、グラフィックデザイナーの岡崎友則さんにお話を伺ってきました!
岡崎さんの手がけた、暖かくどこか懐かしい作品「小倉グラフィック」や北九州の“錆”に注目した「錆ZINE」の制作の裏側もお聞きしてきました♪
…お仕事をはじめたきかっけ
グラフィックデザイナーという仕事を始めたのは、学生時代から美術が好きだったということが一番のきっかけですね。成績表で絵や工作の点数が良かったので、天才かも!?と思っていました(笑)。しかし、中学生時代、美術の先生にデザイナーという仕事があることを教えていただくまでは、美大に行っても絵描きさんにしかなれないと思っていたし、デザイナーとはどんな仕事をしているのかも知りませんでした。気になって調べていくうちにどんどんこの仕事に憧れ、将来の夢へと変わっていきました。
デザイナーになるために美大受験対策の予備校へ通い、デッサンの勉強をはじめましたが、バイトを頑張りすぎた結果、学校をやめてしまいました。学校をやめてからは独学でパソコンのソフトを使ったデザインのやり方を学びました。そして2006年にデザイン事務所「岡崎デザイン」を設立、2014年に知り合いの建築デザイナーやフォトグラファーとともに、北九州小倉北区の共同オフィス「LIO」に事務所を移転し、2015年12月に「株式会社岡崎デザイン」を設立して、今に至ります。
…小倉でお仕事をする理由
本当は東京で仕事をやりたいと思っていましたが、インターネットが発達している今、どこからでも仕事を発信することができるので、自分の生まれた門司港のある北九州でそのまま仕事をはじめました。なので、絶対小倉じゃなければいけないわけではありません(笑)。しかし、今思うと、小倉は東京などに比べデザイナーの人口も少ないため、新しいアイデアを発信したときに目立ちやすいということや、仕事を初めて小倉で出会ってきた人がいい人ばかりなことなど、いいこともたくさんあります。
…小倉グラフィックについて
小倉グラフィックは祖父の影響で始めたものなんです。私の祖父はカメラマンをやっていて、以前、城下町である山口県萩市の20年前と20年後の風景を収めた写真集を制作していました。それを見て、いつか自分もやりたいなあと思っていたのがきっかけでした。この小倉グラフィックは、小倉ならではの風景や看板、また、どんどん移り変わってしまう小倉の景色をデザイン画にしたものです。写真では気づかない魅力などにハッ!と気づいてもらえるのではないかなと思い、実物に近いけれどなるべくポップな色合いにこだわって作っています。実はこの小倉グラフィックは、イラストレーターというソフトを使って、実際の写真をマウスでなぞって作成しているんです!やっているうちにどんどん慣れては来ましたが、細かい部分が多いと発狂しそうになることもあります(笑)
…錆ZINEについて
錆ZINEを制作したのは北九州芸術劇場の「北九州芸術工業地帯」というイベントへ作品を出してみないかと声をかけていただいたのがきっかけでした。最初に声をかけていただいた2015年は、西日本工業大学デザイン学科の学生と数千枚の錆の写真を撮りに行き、その写真と実際の錆、金属の部品などを組み合わせた畳一枚分ほどの作品を作成しました。その次の年の2016年に、今度はアートブックに挑戦しようと思い、錆ZINEを作成することになりました。
この錆ZINEは無料で配布していたのですが、錆を取り上げたデザインというものがなかなか珍しかったようで、全国の本屋さんから置かせてほしいと問い合わせがくることもありました(笑)中には、おばあさんから、亡くなった夫が新日鉄に勤めていたのでどうしても錆ZINが欲しいという問い合わせがあり、実際に錆ZINEを取りに来られたという感動的なこともありました!
…これからのお仕事の展望
錆ZINEのように、街の変なところや小倉ならではのものを見つけて、それを他のエリアに住んでる人たちに発信するための何かを作りたいとおもっています。実際錆ZINEを作った際も、東京や大阪の書店が置かせてほしいと言ってくれたりもしたので、そういう本を作って販売してみたいです。また、街の外への発信とは対照的になるのですが、小倉の町の人に喜んでもらえるようなことをもっとやっていきたいと思っています。
あと、仕事の対価を、米などのお金以外のもので貰ってみたいと考えています(笑)!木材などを対価としてどんどん集めていき、ゆくゆくは家を建てられたら面白いなあと思っています。そしてその様子をブログなどで発信して、対価のもらい方の面白さを発信したいです。ただ、計算してみると35年くらいかかってしまうので、なんとか3年くらいでできないかと考え中です(笑)
今回、岡崎さんにお話を伺ってみて、もっと自分の住んでいる街を見てみたい!まだ気づいていない魅力を発見してみたい!と思いました。それと同時に、「小倉グラフィック」や「錆ZINE」の魅力にもすっかりハマってしまったので、岡崎さんの新しいデザインを見ることがとっても楽しみです!
みなさんも改めて自分の住む街をじっくり見てみると、気づかなかった魅力や自分のやりたいことが見つかるかもしれません!たまにはゆっくりとお散歩してみるのもいいかもしれませんね♪
取材チーム 3年 森 彩夏
2年 岩部 莉奈